太陽光発電は自家消費の時代へ。ガソリン車から電気自動車への転換が進む中、免許不要で、歩道を移動できる電動の「歩行速モビリティ®RakuRo®(ラクロ®)」が登場した。ラクロとはどんな乗り物なのだろうか?
日常の移動をラクに、楽しく
日本が超高齢化社会に向かう中、「日常の移動をラクに楽しくします」という電動の一人乗り自動運転ロボットが開発された。それが「歩行速モビリティRakuRo(ラクロ)」だ。
電動車いすと同じように歩道を移動できるが、行き先はアプリで指定するだけで、自分で運転する必要はない。もちろん免許は不要。時速6キロメートル以下で走り、人や障害物、信号などを感知して自動で避けたり、止まったりできる。
また、街に優しく溶け込めるよう、ラクロの前面には表情を変えられる目がついていて、右に曲がるときは目が右に向いて「右に曲がります」、人が多いところでは恐縮した目で「ご迷惑をおかけしますが、ご注意ください」などの声を発したりもする。
ゆっくり移動できると、景色も変わる
開発した株式会社ZMPは、もともと二足歩行ロボットや自動車の自動運転開発に力を入れてきた会社だ。「Robot of Everything ヒトとモノの移動を自由にし、楽しく便利なライフスタイルを創造する」 をミッションに掲げている。同社のロボライフ事業部長・龍健太郎さんにラクロ開発の背景を聞いてみた。
「不便なことを便利にしていく、困っている誰かのためになることをやるというのが会社の基本にあり、その中で生まれたのがラクロです。高齢になり運転免許を返納して、マイカーを運転できなくなった交通弱者の方や、足が不自由で、歩いて買い物や病院などに行きにくい方に、便利な移動手段としてラクロを使っていただく。タクシーで移動するのもいいのですが、もうちょっとゆっくりと、日光を浴びて、外の景色を眺めながら移動することを楽しんでもらいたいという思いがあります。街での移動の他にも、病院や介護施設、空港、観光施設などでも活用していただきたいと開発しました」
ただ、歩道を自動運転させるためには、自動車の自動運転とはまったく違った課題があったという。
「自動車だとスピードは出ていますが、同じ車線上を同じ方向に走ります。でも歩道だと、歩行者の歩く向きは一定ではなく、速度もまったく違います。自転車もいますし、昼と夜など、時間帯によって歩行者の数も大きく変わります。人の避け方でも、人が少ないときは大きく、ゆっくり避ければいいですが、人が多いときに同じような避け方をすると、かえって邪魔になることも。歩道の幅もそれぞれで、走行方法の最適解は一つではありません。そこが歩行速モビリティ開発の難しさです」と、開発時の苦労を話す。
花見ツアーで言われた「長生きして良かった」
現在、東京都中央区の佃・月島エリアで「ラクロシェアリングサービス」を展開しており、月額1万円の定額プランか、10分300円の時間利用プランで、誰でもラクロを利用できる(会員登録が必要)。買い物や図書館に行ったり、通院などに活用されている。
また、新たな使い道を探っていくため、ラクロを使った「ペアリングツアー」や「花見ツアー」も企画した。
ペアリングツアーは、2台のラクロが会話ができる程度の距離を保ちながら同じ目的地へ向かったり、散歩ルートを走るものだ。2台で会話を楽しみながら移動することがきる。さらに最大4台までのグループツアーも可能で、家族や友人連れでの利用でにぎやかな時間を過ごせそうだ。
花見ツアーは一般の方向けの他、介護付き高齢者施設の入居者にも実施し、桜が満開の時期にお花見スポットを約1時間、ラクロで巡った。そのツアーに参加した90代の女性には「長生きして良かった」と言ってもらえたという。
ZMP・ラクロHP