ソーラーパネルで発電した電気をためて使えば、キャンプがより楽しい。前編では、ポータブル電源とソーラーパネルの上手な使い方をお伝えします。

ポータブル電源とソーラーパネルで、電気をつくってためる

ポータブル電源があれば、いつもと変わらない生活を続けられる。

普段通りに過ごしていると気づきにくいかもしれませんが、私たちの生活の中で電気の影響力はとても大きくなってきています。というのは、明かりなどを得るためだけでなく、スマホやパソコンをはじめ充電して利用するアイテムが増えてきたことも理由の一つに挙げられます。

スマホなどは、コミュニティーツールとしても、情報を得るための手段としても、私たちの生活に深く関わっています。中には、キャッシュレス決済をするためにスマホが欠かせない人もいるでしょう。

だからこそ以前にも増して、電源を確保することが重要になってきました。そこで注目されているのが、いつでもどこでも電気が使えるポータブル電源。アウトドア、災害時など、いろいろな場面で電気を持ち運んで使うことができます。

ソーラーパネルを接続することで、ポータブル電源の可能性がさらに広がる。

ポータブル電源は、家庭で本体に電気を充電してから持ち運ぶのが基本的な使い方です。家電などにつないでたくさん利用すると、電気を使い切ってしまうこともあります。

自然の中にいたり、被災して停電したりしている時など電源のないシチュエーションでは、ポータブル電源に再充電できないので困ってしまいます。

そこで、用意しておきたいのがソーラーパネル。太陽光があればいつでも充電できる環境を整えられるので、ソーラーパネルとポータブル電源の両方を備えておけば心強いです。

 

初心者におすすめする容量400-600Whのポータブル電源

ポータブル電源の出力には、AC電源やUSBポートなどいろいろなタイプがある。

ポータブル電源を探してみると、たくさんの種類があることに気づきます。本体の大きさもさることながら価格の幅も広く、どれを選んだらいいのか混乱するかもしれません。

各ポータブル電源の違いはどこにあるのか? それは、出力など機能性の違いにあります。

ポータブル電源の基本的な構造は、以下の三つから形成されています。

・入力(電気の過充電を防止する「チャージャーコントローラー」など)

・電池(電気を蓄える「バッテリー」)

・出力(電気の出力を調整する「インバーター」)

この基本的な三つの機構や機能性が異なることでそれぞれのポータブル電源の性能に違いが生まれて、幅広いバリエーションが展開されているのです。

そこで、自身の電気の使い方をイメージすることで、たくさんの種類の中から自分に合うポータブル電源を探すことができます。

使いたい家電や機器の消費電力(写真では「AC100V 905W」)を確認して、ポータブル電源のサイズを選ぶ。

ポータブル電源であれば、「USB」「AC100V」「DC12V」の出力が標準で装備されていると考えてよいでしょう。これだけそろっていれば、ほとんどの電気製品をつなげることができます。

そこで、ポータブル電源選びのポイントとなるのが、「出力の大きさ」と「バッテリーのサイズ」です。ポータブル電源には「最大出力」と「バッテリー容量」が表記されているので、その数値を確認するようにします。

例えば、「最大出力AC100V 1000W」のポータブル電源の場合、消費電力1200Wのドライヤーを利用することはできません。

出力1000W < 消費電力1200W

もし、このドライヤーを利用したいのなら、さらに大きなサイズのポータブル電源を選ばなければなりません。

また、電気容量についても同じ考え方で、ポータブル電源の容量が200Wh(ワットアワー)だとすると、消費電力40Wの冷蔵庫は一晩稼働することができません。

200Wh/40W(ワット)=5h(時間)

※分かりやすいように簡易的に計算しています

このように、電源の確保が難しい場所で電気を利用する際、自分自身はどんな家電や機器を利用するのかを想像して、これらを使用可能にする出力、容量のポータブル電源をセレクトするようにしましょう。

本体の出力部分に最大出力が明記されていることが多い。このポータブル電源の場合、AC電源の最大出力300W、USB PDの最大出力45Wと分かる。

では、実際に自身はどれほどの電気を消費するのでしょうか。これは、普段の生活で使う電気の量を意識していないと、イメージしにくいかもしれません。

そこで、スマホの充電、照明など一般的な使い方を想定すると、私のおすすめは中堅クラスのサイズで、容量は500Wh前後、価格帯は4〜6万円ぐらいのタイプです。

出力は容量に比例する傾向があるので、500Whの容量であれば最大出力は約500W。電熱ポットなど熱を伴う電化製品でなければ、大抵のものを利用できます。

この中堅クラスは比較的コンパクトなサイズで、持ち運びしやすい重量であることもポイント。ソーラーパネルを利用すれば1〜2日で充電できる容量である点も、扱いやすい理由の一つです。

自宅で充電し、アウトドアでは使った分を太陽光パネルで給電する

ソーラーパネルを利用すれば、電気をどこでも使えるようになる。

ソーラーパネルがあれば、いつでも電気を充電できます。しかし、アウトドアで利用してみると、太陽は常に動いており、午後から曇ってしまったりして1日の日照時間が非常に短いことも多いのです。

そこで、ポータブル電源を利用するパターンとしておすすめするのが、電気を一度満タンに充電して、使った分をソーラーパネルで補完していく方法です。

ポータブル電源の電気が空になる前に、ある程度消費した時点で、ソーラーパネルを利用して充電を始めます。

例えば、フル充電に8時間かかるソーラーパネルであっても、ポータブル電源の電気を50%残して継ぎ足し充電を行えば、半分の4時間で再び満タンにできます。

日照時間の変化や太陽光を的確に捉えることの難しさを考えると、ソーラーパネルを4時間ぐらい利用するのが現実的であるとも言えます。

 

ソーラーパネルのケーブル端子にはさまざまなタイプがあり、ポータブル電源との接続はもちろん、充電したい機器に直接つなぐこともできる。

ソーラーパネルにも性能の違いがあり、出力できる電気の量が異なります。さらに、ケーブル端子にも違いがあるので、ソーラーパネルを用意する際は、ポータブル電源と同じブランドのものを選ぶようにします。

また、ポータブル電源の側でもソーラーパネルからの入力を「●Wまで」と定めているので、入出力においてもブランドを統一しなければ、使用可能なスペックを合わせることが難しくなってしまうのです。

 

ソーラーパネルは各ブランドによってラインナップは豊富にあり、小型から大型まで用意されているため、使用目的によってポータブル電源のサイズを考慮して選ぶことが重要。パネルの収納サイズも異なるため、併せて確認しておくとよい。

ソーラーパネルも各ブランドによって特徴が異なります。二つや三つに折れたり、収納時にコンパクトになったりするタイプなど、さまざまです。

パネルを木や車などに吊り下げて使ったり、地面に置いて角度を調整できたりするタイプなどもあります。

出力もそれぞれ違うため、ポータブル電源にしっかりと充電できる高出力タイプを使いたい場合などは、ソーラーパネルの特性からポータブル電源を選んでもよいでしょう。

次回からは、機能性の違いなどを踏まえて、おすすめのポータブル電源やソーラーパネルを紹介します。

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渡邉圭史(わたなべ・けいし)

アウトドアメーカー、出版社をへてフリーの編集者・ライターになり、アウトドア、クルマ、キャンピングカーの記事を発信。旅をしながら取材をするスタイルで、全国各地を飛び回っている。